映像メディアの調査はどのように行われているのか?第1回:「ラジオ調査」の始まり

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2015.10.21

映像メディアの調査はどのように行われているのか?第1回:「ラジオ調査」の始まり

 みなさんは「テレビの調査」というと、“ああ、視聴率調査のことだね!”と、お答えになる。では“ラジオの調査は?”と聞くと、“そんな調査あるの? 知らないよ”と、お答えになる方が多い。そう。テレビの調査は「視聴率調査」と、答えられるのにラジオの調査は「聴取率調査」と答えられる方は少ないのだ。

 でも、テレビの調査はラジオの調査の経験から出来上がったのだということを、今日はお話ししていきましょう。

 

調査は嗜好調査から始まった

  ラジオの調査はラジオ放送が始まった大正14年の8月に始まったのです。このことは、NHKの放送文化研究所が毎月発刊している「放送研究と調査(1994年7月号)」に書かれ、そのときのラジオの調査は「番組嗜好調査」で、東京管内の全てのラジオ受信機契約世帯を対象に『聴きたい娯楽番組を尋ねた』とあります。しかし知人を介してどんな調査内容であったのかを調べてみたのですが、戦後の混乱で実物が散逸してしまったらしく、詳しい記述は見つかりませんでした。ただ当時の調査票を推し量るものとして、大正15年12月25日、大正天皇がお亡くなりになられる前の日の読売新聞の「よみうりラジオ版」に、こんな記事がありますので、ご紹介しましょう(原文のまま)。

 

どんな調査だったのでしょう?

 これは『どんなプロがお好きですか』と題し、医学博士・中村辰之助氏にこう尋ねているのです。

 イ)あなたの御家庭には、どんな放送を御希望になりますか?

 ロ)あなたの好きなものは何ですか?

 ハ)あなたの御家庭ではどんな器械でお聴きになってゐますか?

 これに対して、同氏は、こう答えているのです。

 

 1)現在のような五モク寿司的な、然も内容の貧弱な項目を聴いてもいやに思ふでせう。     項目を少なくとも内容の美しいものを聴きたい

 2)真の名士(デモナイ)の時事問題又は経済問題又は落語、筑風の琵琶(夫れ以外の     ビワはダメ)

  3)鉱石セットに拡声器を附けたたもの

なんだか、時代を感じてしまいますね。

 もう一つは昭和元年に電氣博覧会の会場で聞き取り調査、翌2年には婦人講座「茶の湯」や英語講座のテキストに挟み込みのアンケートが行われたとのことですが、これらの調査も、慰安種目嗜好調査同様、調査票やアンケート用紙などは見当たらず、それらがどのように行われたのかを知る術はありません。

 

 始めて全国ベースでラジオの調査が行われたのは昭和7年です。このことについては、次回お話ししましょう。