人権に対してさまざまな配慮が当たり前になった時代。事件報道は難しい。記者が取材してもすべて放送や記事に使えるはずもなく、大半は記者のノートやボイスメモにしまわれたままになる。事件の場合は、被害者家族はもとより、加害者家族や関係者の多くが存命していると、なおさら慎重になる。7日にフジテレビで放映された「30年目の真実~東京・埼玉連続幼女誘拐殺人犯・宮崎勤の肉声~」は内容もさることながら、30年の歳月が流れたことで、ようやく一部“解禁”になったものが放送された。

 

 視聴者の反応を見ると、意外と女性の方が番組に見入ったようだ。女児ばかりを狙った事件で、母親としての立場で見たからなのかもしれない。衝撃的な事件だけに、記憶がよみがえった人も多かった。「何十年も経つと記憶からすっかり抜け出ている事件が多く、忘れないためにもこのような番組は必要だと思った」(62歳女性)「リアルタイムでの驚愕した事件だったので、興味深かったが、ご遺族のことを思うと複雑な気持ちになる。」(40歳女性)。

 

 表現はそれぞれだが、「風化させてはならない」というのはどの感想からも伝わってきた。

誤解を恐れずに言えば、そこには興味という点もぬぐえないだろう。しかし、これだけ世の中を震撼させた事件を起こした人間の本当の姿(あくまで言動からしかうかがえないが)を、同じ人間としてどう冷静に捉えるか、という点は考えていかなければならない。

 

 事件の凄惨さや遺族の心情などを考えれば、今更蒸し返さなくても…という意見もあるのは確かだが、周囲でそういう傾向の人間がいたならば、何か参考になることもある。笑って、泣いて、ああ面白かったという番組ばかりでは、テレビはいらない。