夏ドラマも中盤戦に入った。視聴率では言わずもがな「コード・ブルー」が独走態勢で、テレビウォッチャーの満足度でも夏ドラマで唯一平均3.9オーバー(5段階評価、3.7以上が高満足度の基準)と質・量ともにトップを走っている。

 その他のドラマは二桁をキープし堅調なものもあれば、5%はおろか3%台に突入するドラマも出てくるなど、視聴率だけではなかなか盛り上がりがつかめない。だが満足度ではジワジワ上昇し密かに盛り上がりを見せている作品もある。そこで初回と直近(8月18日放送分まで)の満足度の差が大きかった3作品とその理由を探った。

 

 初回満足度から直近回の満足度比で最も上昇していたのが、フジテレビ・関西テレビ系で火曜9時から放送中の窪田正孝主演「僕たちがやりました」。初回は2.91と夏ドラマワーストだったが第2話で3.52と急上昇し、先日の第6話で3.67と高満足度の基準3.7に近づいた。初回から満足度が低いドラマは第2話以降ファン視聴者が残り満足度を高くしていく、もしくは評価が薄まり数値が乱高下する傾向にあるが、初回の2ポイント台から高満足度に近い数値まで順調に上昇していくのは珍しいケースだ。

 初回満足度が低くなった理由はずばり“バイオレンス”。視聴者の回答を見ると「暴力シーンが不愉快」(39歳女性)、「暴力的で何を描きたいのか不明」(60歳女性)など、初回で執拗に描かれたバイオレンスなシーンが視聴者の好感度を低くした。だが2話以降、物語の核である“爆弾事件の犯人は?”のミステリー部分と、登場人物たちの成長物語が色濃くなっていくと「わからない色々なことが重なってこれからが楽しみ」(63歳女性)など、ドラマにハマる視聴者が多くなり全体の満足度も高満足度に近づいた。

 

 初回3.39から第5話で3.69に上昇させ、ほぼ高満足度のラインにたったのがTBSの金曜10時から放送中で瑛太主演の「ハロー張りネズミ」。初回は3.39と高くない数値だったのは、「シンプルでわかりやすい演出」(42歳男性)といった評価がある一方、「期待しすぎたかも」(42歳女性)、「思った感じとちょっと違った」(51歳女性)など、事前の期待値が高かった視聴者には初回のシンプルな演出が物足りなかったようだ。だが第1話以来1話完結で物語が構成された第6話で最高の3.69(8月21日までの回収分データ)を記録、「展開が速く面白かった」(36歳男性)など、1話完結が功を奏し、スピーディーな展開に視聴者も引き込まれた。

 

 視聴率では3%台(スポーツ新聞等の報道による)を記録し、“打ち切りか?”などネガティブな話題ばかりが先行してしまっているが、実は満足度はジワジワ上昇しているのがフジテレビで木曜10時から放送中の真木よう子主演「セシルのもくろみ」。初回2.96から第6話で3.33に上昇し0.37ポイントの上昇。上昇数は第2位だが直近満足度ランキングでは最下位とまだまだ厳しい数字。

 初回が低すぎる、そもそも直近も高くない…と言ってしまえばそれまでだが、序盤こそ「現実味がない」(61歳女性)など酷評が多くみられ、“つまらない”など簡素な感想ばかりが目立っていたが、前回の第6話では主人公が専属モデルに昇格し、いよいよトップモデルになっていくシンデレラストーリーのターンに入ると、「今までのアバズレっぽい役は演技、そしてモデル並みの動きもできる、真木よう子って本当はすごい人だったんだと恐れ入った」(55歳女性)、「真木ようこさんがモデルとして成功していく様子をみるの楽しい!絶対くじけないそんな彼女から元気もらえていい!!」(57歳女性)、「視聴率がよくなくても私は面白いしエンディングも出てる人たちもおしゃれなので打ち切りにならないでほしい」(34歳女性)など、視聴者の熱量は明らかに初回から急上昇しており、それに伴って満足度もジワリと上がっている。

 どのドラマもまだまだ後半戦が残っている。初回では“?”と思ったドラマでも今見ると意外にハマってしまうドラマも多い。なぜなら“連続ドラマ”は全体を見渡さなければ面白さは決してわからないのだから。

テレビウォッチャー研究員・大石庸平