8月26、27日に日本テレビ系で放送された「24時間テレビ」の中で、恒例となっているスペシャルドラマに今回は“変化球”が投じられ、これが年齢層を問わず好評を博した。

 

 昭和の歌謡曲のヒットメーカー、作詞家の阿久悠さんの生涯を描いた「時代をつくった男 阿久悠物語」は平均視聴率25・6%で、1980年から始まったスペシャルドラマの中で歴代3位タイの数字。これまでのドラマは主に障がいや病気などと闘う姿とその家族を描いたものが多かったが、今回はそのあたりにこだわらなかった。

 

 ドラマ単体での満足度は分からないが、視聴者の感想はすこぶる良い。阿久さんとともに時代を生きた年配者は「阿久悠物語を主体に見た。コマーシャルや演歌・歌謡曲・子供の番組の歌と素晴らしい才能だ。ドラマを見ていて奥さんの陰の力あっての才能が発揮できたのでは素晴らしい夫婦だと思う」(74歳男性)と、当時に思いをはせながら懐かしく視聴した様子。さらに「阿久悠のドラマが面白かった。亀梨くんでどうかなと思ったけど、すごく良かった。奥さん役の松下奈緒も良かった。時代を見極める目と言葉の力、両方を持った阿久悠という天才を奥さんが、陰で支えていたことも興味深かった。阿久さんに曲を書いてもらった歌手は幸せだと思う」(50歳女性)という、子供の頃に阿久さんのヒット曲を聴いて育った世代に、「亀梨さんのドラマが感慨深かった」(25歳女性)のように平成生まれの視聴者にも伝わるものがあったようだ。

 

 あまり語れることのなかった妻や息子と心を通わせるシーンが新鮮で、いつも気難しい顔をして子供心に怖いそうな人というイメージの阿久さん意外な部分を描いていたのは良い視点だった。スターとの交流やヒット曲秘話のようなものがもう少し見たかったが、ピンクレディーや尾崎紀世彦、森昌子など当時の実写のフィルムを交え、コンパクトに編集され飽きがこなかった。

 

 「24時間テレビらしいもの」をという意識でこれまでドラマを作ってきたのだろうが、今回“変化球”のキレも良く、ストライクが決まったことで、さまざまな挑戦ができる枠になったのではないか。24時間で2本のドラマ、というのも今後アリのような気もする。