テレビウォッチャー年報2016(いまさら)完成!…研究員のプロフィールページの紹介

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2017.05.30

テレビウォッチャー年報2016(いまさら)完成!…研究員のプロフィールページの紹介

 

 今更のご報告ですが、テレビウォッチャーの2016年のデータを総ざらいした「テレビウォッチャー年報2016」が完成しました!

 今年はゴールデンタイム・プライムタイムに放送されたバラエティー約300番組を網羅した満足度ランキングの他、16年放送の全ドラマ、単発ドラマの満足度ランキング、横軸を満足度×縦軸を接触数(=視聴者数)にしてマップ化した番組パワーマップ、Eテレを除く地上波6局分の満足度タイムテーブル、各局人気4番組厳選の満足度ベスト&ワースト(満足度が最も高い放送回と低かった回を紹介)、そして研究員のプロフィールページと、これまで2013年から4冊作ってきましたが、最長40ページの超大作になりました。

 

 年報の中のランキング等、みなさんにお見せしたいのは山々ですが、アップとなるとそれなりの労力がかかるので、その中でも最も簡単にアップできて、研究員のひとりごとっぽいパートを下記にて紹介したいと思います。テレビウォッチャーのデータを全く入れていない、僕が好き勝手に言ってるだけの2016年のドラマを総括したレビューです。お時間のある時にでも是非…研究員ってこういうやつです。

 

〇復権?恋愛ドラマ

2016年のテレビドラマを振り返ると、16年の最終クールで大ヒットした「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS)を筆頭に、4月期「世界一難しい恋」(日本テレビ)、同期「私結婚できないんじゃなくて、しないんです」(TBS)、1月期「ダメな私に恋してください」(日本テレビ)と、“恋愛もの(特にラブコメ)”の成功が目立った。

前15年の “恋愛もの”は、ただひたすらに恋愛路線だった「月9」の他、「オトナ女子」(木曜10時、10月期)や、「心がポキッとね」(水曜10時、4月期)など、別枠でも意欲的に数本作ったフジテレビのみだったが、16年はNHKが「コントレール」、「水族館ガール」、「運命に、似た恋」(金曜10時)と、テイストは各々違うが3期連続して恋愛ものを制作。また「家族ノカタチ」(TBS)や、「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」(日本テレビ)は、それぞれ“家族”や“お仕事”をベースに、ラブコメ要素をふんだんに加えたり、「時をかける少女」(日本テレビ)や、「スミカスミレ」(テレビ朝日)は、SFに爽やかな青春恋愛劇を取り入れたりと、各局こぞって“恋愛”に積極的だった。

これはヒットが狙える刑事や医者ドラマブームが落ち着いた(視聴者が飽きた)ことで、様々な企画にチャレンジできるフェーズに入ったことはもちろん、恋愛ドラマを求める若い視聴者を呼び戻すというテレビ局側の思惑もあったのだろう。

とはいえ、恋愛ドラマ枠のパイオニア「月9」の失敗も目立った。

その失敗の原因は、先を行き過ぎたからでは?

ここ4~5年、年1~2本の恋愛ドラマがせいぜいだった「月9」だが、15年は4本中3本が恋愛ドラマと原点回帰。その1月期以降の恋愛路線が最先端過ぎた。

15年1月期はこれまでの恋愛ドラマを覆す超変化球「デート~恋とはどんなものかしら~」を放送。7月期はその逆、超直球勝負でティーンを狙った「恋仲」。10月期はその直球路線を踏襲しながら、ターゲットを少し上げた「5→9~私に恋したお坊さん~」と、15年にフジテレビは変化球でも直球でも恋愛ものに需要があることを証明し、16年に他局が追従した。「逃げ恥」とテーマの共通性が話題にもなった「デート」はその前年に、新時代の恋愛ドラマを先駆けて放送していたし、「恋仲」「5→9」が16年のラブコメ路線の流れを作ったと言っても過言ではない。

だが16年の「月9」はその路線から先へ進み過ぎた。1月期は若年層をターゲットに“非キラキラ系”の恋愛劇「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」、4月期もその流れを汲んだヒューマンテイストでターゲット層を上げた「ラブソング」、10月期は劇画タッチの「カインとアベル」と、15年にラブコメターンを早々に終了させ、16年には次のステージ“非キラキラ系”恋愛ものに進んでしまい、自ら作った波に乗らず、あえて違う波(しかもまだ小さい波)を選んだがゆえに失敗してしまったのではないか。(7月期の「好きな人がいること」は、前年と同じ路線過ぎて新味がなかったので割愛。)

っということは、今年は “非キラキラ系”恋愛が来る?

とにかく、フジテレビが恋愛ドラマ(ラブコメが来る)の種をまき、他局で花開いたという皮肉な結果に。17年以降は、常に恋愛ドラマでトップを走ってきた「月9」が、その流れをどうつかんで昇華させるか?月9新ステージにあがれるか否かはそこにかかっている。

個人的には往年の野島伸司ドラマのような、哲学多めのダーク恋愛系、まさに“非キラキラ系”が来る?と思う。っというより観たい。

〇テレビドラマの面白さはやっぱり“連続”ドラマ

“非1話完結型ミステリー/サスペンス”の成功も目立った。最終回で真犯人が分かるという“連続ミステリー”では「そして、誰もいなくなった。」、「砂の塔~知りすぎた隣人」が、最終回まで続く緊張感を楽しむ“連続サスペンス”では「ナオミとカナコ」、「僕のヤバイ妻」があげられる。最近では視聴者がいつ物語に入ってきてもいいような“1話完結型”や、「半沢直樹」や「下町ロケット」など、物語の山場を分ける“2部制”のドラマが主流だったが、1話でも見逃すと物語についていけなくなる連続性の高いサスペンスの成功は、視聴者が連続ドラマの楽しさを改めて体感できる良いきっかけになった。

また、テレビドラマ自体の話題性を考えても、情報拡散ツールや見逃しても追っかけが容易にできるようになった今こそ、犯人は誰?結末はどうなるの?と、最終話に向かって視聴者を巻き込んでいく爆発力はかつての比ではない。

 

 

〇ドラマを盛り上げる“タイトルバック”

そして、個人的には「逃げ恥」の恋ダンスブームによって、タイトルバックの重要性が証明された良い年でもあった。

最近出演者やスタッフのクレジットをエンディングの映像に重ねるタイプが主流になってしまい、タイトルバックそのものが絶滅しかけている。逃げ恥の恋ダンスを機に、どうかタイトルバック復活を願うばかり。ドラマは主題歌とセットで視聴意欲を盛り上げるし、その世界観を表したタイトルバックで聞く主題歌と、ドラマ本編の後ろで流れる主題歌とでは、前者の方が耳に残るし、主題歌も売れるし、そうすれば相乗効果だし、絶対タイトルバックは復活すべき!

 

〇研究員のプロフィール

ドラマ史に残る朝ドラ「おしん」や「ふぞろいの林檎たち」などが誕生した1983年生まれ。

テレビっ子なのはもちろんだが、視聴率などのテレビデータ通が高じて「テレビウォッチャー」の研究員に。

テレビの中でもテレビドラマが大好きで、脚本、監督などのスタッフ通。

内容はもちろんだが、それより演出や音楽など、外側の仕様(パッケージング)を気にしがち。

一番好きな監督は「HERO」「ショムニ」等の鈴木雅之さんで、一番好きなドラマも鈴木監督の「天才柳沢教授の生活」。

今注目している監督は「夜行観覧車」「Nのために」等の塚原あゆ子さん。繊細な演出なのはもちろん、各ドラマで必ずオリジナリティのある印象的な映像が見られる。

音楽は「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」「家売るオンナ」の得田真裕さん。ポップもバラードもとにかくキャッチー。16年は毎クールの連作で、働き過ぎで心配。

脚本は「リッチマン、プアウーマン」の安達奈緒子先生と「Chef」浜田秀哉先生。安達先生はリアリティとドラマチックな創作のバランスがうまい。次世代のお仕事ドラマの担い手。浜田先生はキャラクター作りとその会話劇がうまい。第二の君塚良一先生的存在。

テレビドラマの再放送の前後に登場して作品を語る、テレビドラマ界の淀川長治的ポジションが夢。