医療ドラマにおける「コード・ブルー」の“新しさ”とは…ついでに“フジ3大医療ドラマ”も振り返る

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2017.07.28

医療ドラマにおける「コード・ブルー」の“新しさ”とは…ついでに“フジ3大医療ドラマ”も振り返る

 いやー、気合が入ってましたね!「コード・ブルー」。

 最近のフジドラマは気合と反比例して視聴率は悪いわ、中身もそんなんで大丈夫?(いい意味でも、悪い意味でも)ってのが多かったわけですが、今回はちゃんと視聴者が求めていたであろう医療ドラマ的面白さ、ドクターヘリを用いたダイナミックな映像、キャラクターたちの成長が描けていたのはもちろん、月9ユーザー向けのラブ要素、“逃げ恥”後のガッキーの見せ場(結構多め)、怒涛のツンデレ展開、そしてとどめのPの胸筋まで、隅から隅まで行き届いたきめ細やかな視聴者へのサービスが高視聴率をもたらしたのでしょう。

 

 そしてそれがこれまでなかなか日の目を見ることがなく、今年1月期の「大貧乏」では散々だった、脚本・安達奈緒子先生が書いたというんだから、ずっと先生を応援していた僕にとっては嬉しい出来事。安達先生史上最高視聴率、おめでとうございます!!

 

 で、僕にとって前作までの「コード・ブルー」は、無理矢理ヘリを登場させた「救命病棟24時」という二番煎じ的な印象だったのに、今回はこれまでの医療ドラマにはない、“「コード・ブルー」にしか出来ないもの”がちゃんとあって、俄然視聴意欲が増してきました!

 その“「コード・ブルー」にしか出来ないもの”というのは、医療ドラマって基本的に主人公=スーパードクターがデフォなので、シリーズを重ねてもキャラクターたちの成長は描かないのですが、今回の「コード・ブルー」は7年という年月を経たからこそ描ける“大河ドラマ的成長物語”があって、それが実に“新しい”のです。

 

 っということで突然ですが、僕にとって偉大なる“フジテレビ3大医療ドラマ”の特徴を振り返りながら、それぞれの“新しい”を紐解いていきましょう。

 

 フジテレビの最大のヒット医療シリーズといえば、主演が江口だったり、菜々子だったりの「救命病棟24時」。この作品は1999年~2013年の間で第5シリーズまで続く人気作ですが、どの作品でも変わらず江口洋介演じる進藤先生はスーパードクターで、彼の成長を描くドラマではありません。(5期の菜々子版は若干主人公の成長物語的雰囲気だけど、ややこしくなるので置いときます。)

 そして「救命病棟24時」の全5シリーズそれぞれの挑戦は今考えても素晴らしい!

 “進藤先生の脳死の妻”を軸に連続ドラマ的要素が強かった第1期。救命センターで働く医師たちのそれぞれのキャラクターに深くスポットを当て群像劇的要素が強かった第2期。“大地震が起こったら?”という大胆な設定に「救命」を放り込んだ第3期。主人公がスーパードクターだからこそ起きた弊害とその孤独を描いた第4期。そして最終的に“進藤先生どっか行っちゃった”の第5期と、どのシリーズも同じことをやろうとしない、いくら第5期が個人的に超絶つまらない黒歴史だったとしても、各々の作品のチャレンジ精神はさすがフジテレビと思わされます。だって同じく次作で第5シリーズとなる「ドクターX」は水戸黄門的“型”ドラマなので、毎シリーズほぼ新しさはないじゃないですか?その“型”をどう極めていくかにも相当な努力が必要でしょうなんでしょうけど、僕にとってはつまらなくってもいい、“新しい”が見たいのです!!

 

 でもって、医療ドラマで「コード・ブルー」的な“大河ドラマ的成長物語”という点で近いのは2003年~2006年まで続いた「Dr.コトー診療所」(またやんないかなー)。こちらも成長系といえば成長系ですが、コトー先生の成長と言うより島民たちの成長物語と言っていいでしょう。そして「コード・ブルー」は舞台が救命なので自然と大事故、大手術シーンが描けるので、人間ドラマと並行してこの先いくらでも続けられそうなフォーマットですが、「Dr.コトー」は、コトー先生の成長を描かずとも、島民たちの人間ドラマでいくらでも続けられますが、医療シーンにおいては島民が次々病気にならないと話にならない(手術シーンがなければただの「南の国から」状態)というジレンマ(いずれ島民全滅)を抱えているので、頻繁に続編が作れないというのも難点です。難点です…ってそういう話じゃないか。

 

 そして、医療ドラマでありながら意外にも“内臓を見せる”という手法で新境地を切り開いたのが坂口憲二主演の「医龍」シリーズ。

 それまでの医療ドラマは手術シーンで“内臓”までは決して映りませんでしたが(僕が知る範囲では田宮二郎版「白い巨塔」では内臓映りまくりだったので、80年代とかそこいら辺で内臓NGになったのでは…)、この作品からはそれを映しちゃう(しかもリアル過ぎて逆にグロくない)というチャレンジに見事成功しました。

 またこれも主人公の朝田先生は絶対失敗しないスーパードクターなので、基本成長しません。よってバチスタ手術の困難さをCGで解説して術式を理解するだったり、オペの見学者がやたら解説して手術シーンにグルーブ感を出してみたり、細かいところで言ったら停電させて朝田先生の手術テクを制限したり、切らなくても治せる!と現れたカテーテル手術の脅威だったり…と手を変え品を変え新しさを追求しシリーズ化していった作品です。最後の第4シリーズは若干カッスカッスの出がらし状態になったのでもう続編は無理でしょう。

 

 っという感じで結局、一体、なんの話だったのでしょうか?(自分で言うな)

 今回の「コード・ブルー」は、第1期・第2期の時点では“役者が若すぎる”だったハンデを、7年という年月を経たことで力づくでリアルに近づけただけでなく(だってよくよく見まわしたら、あの救命、全員若すぎでしょ、見た目的に)、あの時からの成長を楽しむという、これまでの医療ものにはなかった楽しさを生み出しています。それが“新しい”で個人的には前作以上に面白いなと感じるのです。

 

 それにしても、話戻りますけど、やっぱり、ドル箱コンテンツに違いなかった「救命病棟」で3の段階で大地震が起きたら…という設定にもっていったその企画力とチャレンジ精神、そしてクリエイティブ魂には頭が下がります。

 とはいえ、そのチャレンジが成功していたか否か…

 僕的には失敗だったな…と思うんですがね…